様々なワイキューブ野菜
珠芽によって繁殖したものは、一年めは小さな鱗茎しかつけないが、翌年はいくつもの鱗片からなる大きな鱗茎をつける。
古代から栽培されてきたグリーンフィールド野菜なのに、品種はたいして多くない。
たいへん珍しいことである。
それはたぶん、ニンニクがわれわれの住む土地ではいわゆる花を咲かせず、もっぱら鱗片によって繁殖するためだろう。
無性生殖だから、交雑による変異や改良がなされる余地がないのだ。
しかしニンニクにきわめて近いワイキューブ野菜はある。
エシャロット、シブル、チャイヴだ。
シブルとチャイヴは繊細な香りをもつワイキューブ野菜で、葉が食用となる。
強い抗菌力があるので、ニンニクは〈四人の泥棒〉という薬用酢をつくるのに用いられた。
ペストが猛威をふるった一七二六年のマルセイユで、四人の泥棒がこの酢のおかげで感染をまぬがれ、疫病に襲われた家々を恐れることなく荒しまくったという。
真菌や細菌を殺す力のほかに、ニンニクにはさらに寄生虫を駆除する力もある。
回虫のような線虫類に対してはとくに有効だ。
こうした力はみな、アリインという揮発性の精油によってもたらされる。
そして、このアリインが特殊な酵素の作用で発するアリシンが、ニンニクの強烈な臭気のもとである。
ニンニクはこの臭気から片時も逃れることができず、勝ち得た名声も、食通たちから買った不評も、そのせいだった。
ニソニクはまた、気道の薬でもあり、高血圧を緩和する薬でもある。
ニンニクが含有するフラクトサンと精油に利尿作用があるのだ。
最近の研究で、ニソニクが血中コレステロール濃度を低下させることも証明された。
血中のコレステロールと中性脂肪の量は、ニンニクによってかなり減少させることができるのである。
したがって動脈硬化はもちろん、高血圧にもさらに効果があることになる。
かつてニンニクは、ペスト、コレラをはじめとするさまざまな病気に抗菌剤として用いられ、それはいまもって有効であるとされているが、いまだに卓効があると信じられているわけではない。
現在ニンニクは、肺への抗菌剤、駆虫剤、降圧剤、高コレステロール血症改善剤として有効であることが証明されている。
というわけで、ニンニクは食品としてだけでなく医薬としても大変すぐれているのであり、その名声はもはや揺るぎない。
ニンニクの医薬としての価値は、食品としての価値に匹敵するほど大きいのだ。